書跡・典籍

根本百一羯磨

巻第六

奈良時代
公益財団法人根津美術館 / 東京都

概要

『根本百一羯磨(こんぽんひゃくいちかつま)』は、唐の僧・義浄がインドから持ち帰った仏教経典を翻訳したもので、全10巻のうちの第6巻にあたります。仏教の戒律を遵守するための具体的な手続きや儀礼(羯磨)を体系的にまとめた、奈良時代の貴重な写本です。

歴史的背景

本作が制作された奈良時代は、唐からの最新文化や仏教経典が次々と日本へ伝来し、国家事業として大規模な写経が行われた時代でした。原典は義浄がインドから持ち帰った経典に基づいており、当時の僧伽(教団)運営において極めて重要な役割を果たしました。仏教文化が花開いた時代の精神性と、当時の高度な書写技術を現代に伝える重要な歴史的遺構です。

特徴と魅力

本作は奈良時代特有の力強く端正な筆致が最大の特徴であり、宗教史・書道史の両面で極めて高い価値を有しています。

  • 書風の美しさ: 唐代の書風の影響を受けつつ、日本独自の典雅さが加わった「奈良朝写経」の典型的なスタイルです。規矩にかなった厳格な構成の中に、伸びやかな勢いが感じられます。
  • 優れた保存状態: 当時の上質な紙(麻紙や良質の楮紙)が使用されており、千数百年を経た今日でも墨痕が鮮やかな輝きを保っています。巻子本形式としての美しさも特筆すべき点です。
  • 学術的・宗教的価値: 仏教の戒律に関する記録として宗教史的に重要であることはもちろん、古代の文字資料としても第一級の価値を備えています。

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

間違いを指摘する

根本百一羯磨

201/565