彫刻

諸尊仏龕

中国・唐時代
和歌山県
宗教法人金剛峯寺 / 和歌山県

概要

木造諸尊仏龕(もくぞうしょそんぶつがん)は、和歌山県・高野山の金剛峯寺に伝わる、唐時代に制作された小型の携帯用仏壇(仏龕)です。白檀(びゃくだん)の木を用い、緻密な彫刻で多数の仏像が安置されています。弘法大師空海が唐より持ち帰った「枕本尊(まくらほんぞん)」として知られ、真言密教において極めて重要な聖宝として守り伝えられてきました。

歴史的背景

本作は8世紀から9世紀の唐時代、中国で制作されたものです。延暦23年(804年)に入唐した空海が、真言密教の第七祖である師・恵果(けいか)和尚より授かり、大同元年(806年)に帰国した際の請来品目録『御請来目録(ごしょうらいもくろく)』にも記されている歴史的遺品です。空海はこれを自身の身近に置いて終生崇敬した「持仏」であったと伝えられており、高野山開創以来、金剛峯寺において秘蔵されてきました。唐代の彫刻様式をそのまま現代に伝える、極めて貴重な外来の美術工芸品です。

特徴と魅力

この仏龕の最大の魅力は、高さ約23センチという小規模な空間の中に、驚異的な密度で彫り込まれた彫刻技術にあります。

  • 三面開きの構造: 「懸中式(けんちゅうしき)」と呼ばれる形式で、円筒状の白檀を縦に三分割し、蝶番で繋いでいます。閉じると円筒状になり、開くと中央と左右の三面が現れます。
  • 諸尊の配置: 中央には、霊鷲山で説法する釈迦如来を中心に、脇侍の菩薩や羅漢、力士などが配されています。左右の扉部分にも菩薩や諸天がびっしりと彫り込まれ、全体で25躯もの尊像が表現されています。
  • 精緻な彫刻: 唐時代の豊かな写実性を反映しており、各尊像の豊かな表情、衣のひだ、装身具に至るまで、細部まで鋭く繊細に表現されています。
  • 材質の価値: 香木として名高い白檀が使用されており、当時の仏教美術における素材へのこだわりと、空海に対する最高の敬意がうかがえます。

本作は、密教の伝来を象徴する歴史的意義と、唐代彫刻の最高峰を示す美術的価値を併せ持つ、まさに国宝の名にふわさしい逸品です。

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

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諸尊仏龕

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