彫刻

弥勒仏坐像(廟所安置)

平安時代
和歌山県
慈尊院 / 和歌山県

概要

和歌山県九度山町にある慈尊院の弥勒堂(廟所)に本尊として安置されている、平安時代初期の木造彫刻です。弘法大師空海の母・阿刀氏の入滅後、空海が母の成仏を願って弥勒菩薩を刻み、安置したという伝承を持つ極めて重要な秘仏です。現在は21年に一度開帳される「秘仏」として大切に守られています。

歴史的背景

慈尊院は、空海が高野山を開創するにあたり、表玄関および政所(事務局)として整備した寺院です。当時、高野山は女人禁制であったため、空海の母は麓にあるこの地で晩年を過ごしました。平安時代初期(9世紀後半)に制作されたとされる本像は、空海の母が弥勒菩薩を深く信仰していたという由緒から、彼女の化身、あるいは彼女が往生した兜率天の主として信仰を集めてきました。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部としても知られています。

特徴と魅力

平安時代初期の仏像彫刻における最高傑作の一つであり、その堂々とした風格と力強さが最大の魅力です。

  • 重厚な造形: 平安初期彫刻に特徴的な、肉付きの良い体躯と、膝を広く張った安定感のある坐法が、仏としての威厳を感じさせます。
  • 鋭い衣文様: 衣服のひだ(衣文)には、翻波式衣文(ほんぱしきえもん)と呼ばれる、寄せては返す波のような力強い彫り口が見られ、当時の様式を色濃く反映しています。
  • 神秘的な表情: 切れ長の目と結ばれた口元は、見る者を圧倒するような厳しさと、すべてを包み込むような深い慈悲が共存した独特の表情を湛えています。
  • 保存状態: 秘仏として長年厨子の中に安置されていたため、保存状態が非常に良く、当時の彫り跡や造形美を現代にまで鮮明に伝えています。

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

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弥勒仏坐像(廟所安置)

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