三帖和讃
基本情報
- 台帳ID: 201
- 管理対象ID: 696
- 種別: 書跡・典籍
- 国: 日本
- 時代: 鎌倉時代
- 作者: 親鸞
- 指定年月日: 1953年11月14日
- 都道府県: 三重県
- 所在地: 三重県津市一身田町2819
- 所有者名: 専修寺
出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋
概要
三帖和讃(さんじょうわさん)は、浄土真宗の開祖である親鸞(しんらん)が、阿弥陀仏や高僧を讃えるために日本語で記した讃歌集です。「浄土和讃」「高僧和讃」「正像末和讃」の三部から構成されており、三重県の専修寺(せんじゅじ)に伝わる本作は、親鸞自身の筆による「真筆本」として、極めて高い歴史的・宗教的価値を持っています。
歴史的背景
鎌倉時代中期、親鸞は難解な漢文の教典を読めない一般庶民にも浄土教の教えを広めるため、七五調の韻文形式である「和讃」を多く作成しました。親鸞は晩年に至るまでこれら和讃の推敲を重ねたとされており、本作は「高田本」と呼ばれ、その最終的な形態に至る過程や、親鸞の思想的深化を示す貴重な資料です。専修寺本は、親鸞の直弟子であり高田門徒の指導者であった真仏(しんぶつ)らが受け継ぎ、同寺の宝物として大切に守り伝えられてきました。
特徴と魅力
本作の最大の魅力は、親鸞自身の筆致を通じて、その情熱や思想の深まりを直接感じられる「稿本」としての性質にあります。
- 親鸞真筆の筆跡: 力強く、かつ端正な親鸞特有の書風が見て取れます。自筆本がこれほど良好な状態で残っている例は稀であり、書道史の上でも重要です。
- 不断の推敲跡: 紙面には親鸞自身による頻繁な書き入れ、貼り紙、訂正、注釈が見られます。これは彼が死の直前まで教義の表現を磨き続け、より正確に伝えようと苦心した跡を伺い知ることができる、生々しいドキュメントでもあります。
- 和文仏教の極致: 仏教の深遠な教えを平易な日本語(かな混じり文)で表現しており、当時の国語学や日本文学の研究対象としても非常に価値があります。
- 教理の集大成: 浄土真宗の信仰の根幹が網羅されており、宗門において「正信偈」と並んで最も重視される聖教(しょうぎょう)の一つとなっています。