太刀 銘 備前国長船住景光(小竜景光)

元亨二年五月日

基本情報

  • 台帳ID: 201
  • 管理対象ID: 354
  • 種別: 工芸品
  • : 日本
  • 時代: 鎌倉
  • 指定年月日: 1952年11月22日
  • 都道府県: 東京都
  • 所在地: 東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9
  • 所有者名: 独立行政法人国立文化財機構

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

概要

「小竜景光(こりゅうかげみつ)」の通称で広く知られるこの太刀は、鎌倉時代末期に備前国(現在の岡山県)で活躍した名工・長船景光(おさふねかげみつ)によって製作された最高傑作の一つです。刀身に繊細な「小竜」の彫物があることからその名が付けられました。明治天皇の愛刀であったことでも知られ、現在は国宝として東京国立博物館に所蔵されています。

歴史的背景

本太刀は、元亨2年(1322年)5月に製作されました。鎌倉時代末期は日本刀製作が技術的に頂点に達した時期であり、景光はその中心地であった備前長船派を代表する名工・長光の子として、端正で洗練された作風を確立しました。伝承によれば、南北朝時代の英雄・楠木正成の佩刀であったとされ、その後、幕府の御用試斬役を務めた山田浅右衛門家を経て明治天皇に献上されました。明治天皇はこの刀を非常に気に入り、軍装に合わせて佩用したともいわれています。

特徴と魅力

「小竜景光」は、美術的な美しさと歴史的な重みを兼ね備えた、日本刀の至宝です。

  • 小竜の彫物: 刀身の腰元に、樋(ひ)の中に潜むようにして彫られた「覗き竜」があります。非常に細密な彫りであり、その姿から「小竜」や「覗き竜」と呼ばれ親しまれてきました。
  • 片落ち互の目の刃文: 景光の代名詞とも言える、鋸の歯のように規則正しく変化する「片落ち互の目(かたおちぐのめ)」の刃文が美しく現れています。
  • 端正な姿と地鉄: 鎌倉時代末期らしい優美な太刀姿を保っており、板目肌が細かく詰んだ美しい地鉄(じがね)には、備前刀特有の白く輝く「映り」が鮮明に見られます。
  • 抜群の保存状態: 製作から700年以上が経過しているにもかかわらず、磨り上げ(短く切り詰めること)がなされていない「生ぶ茎(うぶなかご)」の状態を保っており、極めて高い資料的価値を誇ります。