曜変天目茶碗
基本情報
- 台帳ID: 201
- 管理対象ID: 303
- 種別: 工芸品
- 国: 中国
- 時代: 南宋
- 指定年月日: 1951年06月09日
- 都道府県: 東京都
- 所在地: 千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
- 所有者名: 公益財団法人静嘉堂
出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋
概要
曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)は、南宋時代の中国・建窯(けんよう)で焼かれた黒釉の茶碗です。「曜変」とは、漆黒の器面に浮かぶ斑文の周囲に、虹のような青や紫の光彩(構造色)が輝く現象を指します。完全な状態で現存するものは世界にわずか3点しかなく、そのすべてが日本に所在し、いずれも国宝に指定されています。本品は、かつて徳川将軍家から稲葉家に伝わった由緒から「稲葉天目」とも呼ばれ、曜変天目の中でも最高傑作として知られています。
歴史的背景
12世紀から13世紀の南宋時代、中国福建省の建窯で作られました。当時、天目茶碗は鎌倉時代の禅僧らによって日本へ持ち込まれ、室町時代には足利将軍家を中心に「唐物(からもの)」の最高峰として極めて高く評価されました。本品は、徳川三代将軍家光が乳母である春日局に与え、後にその子孫である淀藩主・稲葉家に伝来しました。1924年(大正13年)に三菱第四代社長の岩崎小彌太が購入し、現在は静嘉堂文庫美術館に所蔵されています。
特徴と魅力
曜変天目茶碗の最大の魅力は、茶碗の内側に広がる「小宇宙」とも形容される神秘的な輝きにあります。
- 神秘的な光彩: 器の内側に浮かぶ大小の斑文の周囲には、光の当たり方や見る角度によって瑠璃色や紫色へと変化する鮮やかな光沢が見られます。
- 窯変の奇跡: この模様は、窯の中での温度変化などによって釉薬が予期せぬ変化を遂げる「窯変(ようへん)」によるもので、人工的に再現することは現代の技術をもってしても極めて困難とされています。
- 比類なき希少性: 世界に3点しかない国宝の曜変天目の中でも、本品は最も斑文がはっきりと現れており、光彩の美しさが際立っています。
- 洗練された造形: 漆黒の釉薬(黒釉)と、すり鉢状の端正なフォルムが、南宋時代の高度な陶磁器技術と美意識を現代に伝えています。