木造新羅明神坐像(新羅善神堂安置)

基本情報

  • 台帳ID: 201
  • 管理対象ID: 262
  • 種別: 彫刻
  • : 日本
  • 時代: 平安時代
  • 指定年月日: 1956年06月28日
  • 都道府県: 滋賀県
  • 所在地: 滋賀県大津市園城寺町246
  • 所有者名: 園城寺

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

概要

木造新羅明神坐像(もくぞうしんらみょうじんざぞう)は、滋賀県大津市にある天台寺門宗総本山・園城寺(三井寺)の北郊に位置する鎮守社、新羅善神堂(しんらぜんしんどう)の本尊です。平安時代中期(11世紀)を代表する、極めて個性的かつ肖像彫刻的な神像として知られています。園城寺の開祖・円珍(智証大師)が承和の入唐求法を終えて帰国する際(858年)、船中に突如現れたとされる異形の守護神「新羅明神」を立体化したものです。

歴史的背景

園城寺の伝承によれば、円珍の帰国船に老翁の姿をした神が現れ、「教えを護り、三井の地を与えよう」と告げたとされます。これが朝鮮半島の新羅ゆかりの神とされる新羅明神であり、円珍によって守護神として祀られました。現存する本像は、この特異な信仰に基づき、院政期に先立つ11世紀頃に制作されたと考えられています。また、新羅明神は源氏の氏神としても深く信仰され、源義光がこの堂の前で元服して「新羅三郎義光」と名乗った史実は、武家社会における本神格の影響力を物語っています。

特徴と魅力

本像は、一般的な日本の神像に見られる温和な表情とは一線を画す、異国情緒あふれる独特の風貌を持っており、神像彫刻の最高傑作の一つに数えられます。

  • 異貌の表現: 高い冠を戴き、極端に細長い顔立ち(長顔)、吊り上がった眼、そして顎まで届く長い髭といった特徴は、大陸の道教的な雰囲気や高僧の肖像を彷彿とさせます。
  • 造形と技法: 全体的に痩身で、ゆったりとした道服を身に纏い、膝の上で手を組む静謐な姿です。構造はヒノキ材の一木造で、平安時代中期の彫刻様式を色濃く反映しています。
  • 卓越した彩色: 長らく秘仏として厳重に守られてきたため、表面には当初の彩色や、衣服の繊細な文様が良好に残っており、当時の工芸技術の粋を今日に伝えています。
  • 秘仏としての価値: 保存状態が非常に良好であり、平安彫刻における神像の傑作として、また園城寺門徒にとっても最も神聖な尊像として今日まで尊崇されています。

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木造新羅明神坐像(新羅善神堂安置)

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