五重塔初重壁画(板絵著色)

基本情報

  • 台帳ID: 201
  • 管理対象ID: 159
  • 種別: 絵画
  • : 日本
  • 時代: 平安
  • 指定年月日: 1976年06月05日
  • 都道府県: 京都府
  • 所在地: 京都府
  • 所有者名: 醍醐寺

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

概要

五重塔初重壁画(板絵著色)は、京都市伏見区に位置する醍醐寺の五重塔内部、初重(1階部分)の壁や板扉、柱などに描かれた平安時代の貴重な仏教絵画です。京都府下最古の木造建築物である五重塔の建立と同時期の10世紀中頃(951年)に制作されたもので、現存する平安時代の密教絵画として、また当時の彩色を留める遺構として極めて高い歴史的価値を有しています。

歴史的背景

醍醐寺の五重塔は、醍醐天皇の菩提を弔うために朱雀天皇が承平6年(936年)に発願・起工し、村上天皇の代である天暦5年(951年)に完成しました。この壁画も塔の建立に合わせて描かれたものであり、1000年以上の歳月を経て当時の姿を今に伝えています。平安時代中期の絵画が、建築物と一体となった状態でこれほどまとまって残っている例は他に類を見ず、当時の密教信仰の広がりと宮廷文化が融合した象徴的な遺構です。

特徴と魅力

この壁画は、密教の世界観を視覚的に表現しており、その美術的・宗教的な特徴は以下の通りです。

  • 両界曼荼羅の構成: 内部の壁や扉には「胎蔵界曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」が描かれており、塔の内部全体が密教の宇宙を体現する立体的な空間となっています。
  • 真言八祖像: 内部中央の四天柱(4本の柱)には、1柱に2躯ずつ、計8人の高僧(真言八祖)が描かれています。これは、空海(弘法大師)の肖像画としても日本最古級の例として知られ、日本化が進む平安絵画の重要な指標となっています。
  • 繊細な技法と色彩: 平安中期特有の、優美で繊細な線描と色彩感覚が随所に見られ、当時の高い技術力を示しています。特に、10世紀という早い時期の和様化の進展を確認できる点が重要です。
  • 建築との一体性: 単なる装飾ではなく、五重塔という建築構造そのものを密教の曼荼羅空間へと昇華させる重要な役割を果たしており、日本美術史上欠かせない傑作です。

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五重塔初重壁画(板絵著色)

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